代替タンパク質の市場がよりオープンになるにつれ、東南アジアのフードテックスタートアップ企業が提供する様々な製品を目にするようになった。ホエイプロテインから昆虫まで、あらゆるものを原料にしたこれらの製品は、既存のソリューションに代わる、より健康的で環境に優しい選択肢を提供している。
SoiLabsは、ユニークな解決策を打ち出した最新の企業の一つだ。
シンガポールに拠点を置く同社は、おから廃棄の問題に対してユニークで統合的なソリューションを提供している。
おからとは、大豆加工業者や豆腐製造業者から出る大豆加工廃棄物のことだ。日本では年間約80万トン、韓国では約31万トン、中国では約280万トンのおからが豆腐製造業から排出されている。おからは、タンパク質、繊維質、ビタミン、植物性栄養素、ミネラルなどを多く含み、栄養価が高いことが知られている。
このおからを消費できるようにするために、同社はおからをSoi-Xという、複数の最終製品に使用できる独自の中間体に変身させる。
SoiLabsのCEOであるMauro Catellani氏がe27のメールインタビューに答えたところによると、これは小麦を小麦粉に変えるのと同じようなコンセプトだという。
「その後、Soi-X中間体の開発を通じて、チーズやスープを始め、おからを産業ベースで付加価値の高い栄養製品に変換できることがわかった」と彼は説明する。
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「これにより、大豆加工業者の廃棄物処理の問題を、最初は食品に、そして複数の高付加価値製品に変換できる中間製品に変換することで解決し、動物栄養、食品サプリメント、化粧品、バイオ刺激剤、プロバイオティック飲料など他のアプリケーションセグメントに対応することができる」
SoiLabsは、シンガポールを拠点とする投資アドバイザリー会社であるHafnium Venturesによって設立され、特殊化学品、持続可能な材料、農業食品技術に加え、初期段階の革新的技術や製品の特定と商業化に焦点を当て、その開発にハンズオンでサポートを提供している。
Hafniumは、Republic Polytechnicをはじめ、シンガポール内外の多くの機関や大学と連携している。おからから大豆チーズスライス、クリームチーズ、スープを製造する技術は、同機関との話し合いの中で初めて明らかになった。
Catellani氏によれば、SoiLabsは、おからの変換プロセスを大規模に工業化し、貴重で栄養価の高い素材を無駄にしないことで差別化を図っている。そうすることで、世界の食料供給に貢献することを目指している。
この目標は、シンガポールの「30 by 30イニシアティブ」(2030年までに地域の栄養需要の30%を持続的に生産するために、シンガポールの農業食品産業の能力と、その能力を高める運動)に合致している。また、持続可能な開発目標(Sustainability Development Goals)にも合致している。
「私たちは、ベジタリアンやビーガンの市場に焦点を当て、これらの分野で製品ラインを拡大している。おからは良い原料で、良質な繊維を豊富に含んでいる。糖尿病、肥満、高脂血症を予防するための栄養補助食品としても利用できる」とCatellani氏は言う。
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SoiLabsは、2023年2月に三洋化成とHafnium Venturesからシード資金ラウンドで50万シンガポールドル(37万米ドル)を調達したことを発表している。三洋化成は、SoiLabsへの出資に加え、SoiLabsと覚書を締結し、日本での事業拡大と最終製品への追加用途の拡大を図ることにしている。
今回の資金調達により、同社はSoi-Xの商業化を加速させ、国内外市場向けに既存および今後の最終製品をさらに開発することができる。
「今回の資金調達により、当社は、現在の技術の商業化、および補完的な技術や最終製品のアプリケーションの強力なパイプラインを構築するための強力なプラットフォームを得ることができる。三洋化成の出資により、強力な産業界との緊密な連携が実現し、日本市場の開拓において彼らとパートナーシップを組むことを楽しみにしている」とCatellani氏はコメントしている。
表題画像:Photo by Alexander Maasch on Unsplash (改変して使用)