「スタートアップ企業はExit戦略を意識してから起業すべきなのだろうか?」
この質問には様々な見方があるが、一つ言えることがある。もし、創業者が会社の初期段階において練りに練り上げられたExit戦略を説明しはじめたら投資家は十中八九怯えてしまうだろう。
スタートアップの初期段階では、Exit戦略を構築することはほぼ不可能である。初期段階では、プロダクトマーケットフィット、リテンション、プロダクトロードマップ、など、ビジネスにおける重要な要素が構築・達成できておらず、Exit戦略を考えるのには時期尚早である。
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投資家は、創業者が事業の実現に集中し、できるだけ脇見をせずに価値を付加することを望んでいどんなに強い会社でも資金調達(または撤退)ができるということわざがあります。Exitは、企業にとって重要なマイルストーンである。それは必ずしも創業者の離脱を意味するものではない。
VCファームや創業者のリターンを最大化するためには、タイミングとExit戦略が非常に重要である。
実際のところ、Exitには最適なタイミングというものは存在しない。
昨今のビジネス環境は見通しが立てづらく、従い将来の計画を立てるのが非常に難しくなってきているからである。
Exitを考え始める上で重要なのは、その「理由」と「スタートアップの経営状況」をしっかり検討・把握しておくことだ。
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Exitを語るうえで創業者と株主は幾つかのルートを探ることができる。ただし、その上で重要なことは全てのステークホルダーにインセンティブを持たせることである。
Exitの技術的な問題はケースによって異なるが、一方でいくつかの共通点がある。
最も重要なのは、会社の地盤を整えることである。例えば下記のチェックリストに対して自信をもって解答することができるだろうか?
(1) 最新の財務報告書は監査済みか?(買収者は監査済みの数字しか確認しない。監査されていない場合は、なぜ監査されていないのかを明確に説明する必要がある。)
(2) 会社の経営・オペレーション管理手法は標準化・文書化されているか?
(3) 過去の業績を踏まえた財務予測はどうなっているか?
(4) 会社、製品、市場のロードマップの見通しは?
(5) 創業者、スタッフ、株主全員のExitシナリオは?アーン・アウト条項が設けられている場合、インセンティブはどのように調整されているのか?
Exitの最高のシナリオはIPOだが、東南アジアでは「買収」がExitの大部分を占めている。ユニコーンの台頭がこれを説明している。
東南アジアのユニコーンはバイイングパワーを持っているため、小規模なスタートアップ企業がユニコーンに買収される機会が増えている。
2015年から2020年までに東南アジアのユニコーンによって28件もの買収が行われている。今後より多くの資本が同地域に進出してくる見通しがたっているため、この数字は今後数年間でさらに増加するだろう。
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東南アジアのExit状況を語る上でユニコーンの台頭と共に重要なのが、証券取引所によるスタートアップ支援を通じたIPO戦略である。
NASDAQはSGXと共同上場契約を結び、東南アジアのスタートアップ企業がNASDAQに上場するのを支援している。Sea Group IPOの成功により、アメリカの証券取引所がExitルートとなり得ることが知れ渡った形である。
一方、シンガポール以外の他地域の取引所はどうだろうか?これまで、他地域の取引所はテック系のIPOでは大きな役割を果たしてこなかった。しかし、東南アジアを拠点とするスタートアップ企業がIPOのために香港や日本を検討する機会が増えてきている。これらの市場では、技術系IPOのための流動性が高まってきているという。
今後のExitの重要なドライバーは、東南アジアのVCファンドが成熟期を迎えつつあることである。ほとんどの主要なファンドは2010年代前半に設立されたため、東南アジア全体のファンドは投資のリターンを得る段階にきている。
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東南アジアでは、1億米ドル以上の評価を受けた企業の数が年々増加している。
地域のユニコーンに加えて、より多くの国際的な企業が、資金調達と後の買収を通じて東南アジアの露出を増やすことを願っている。